雑感。

某所より。

サイト運営にはいろいろな面があるけれども、掲示板やチャットなどの参加型コンテンツを通じたコミュニティの育成はいちばん難しいです。

X本人は、混沌とした気軽に馬鹿話ができる雰囲気が好きなのに、ふしぎなことにサイト主の志向とは関係なくコミュニティは育っていきます。もちろん独裁国家じゃないんだから、参加型コンテンツがサイト主の思ったのと違う方向にいくのは当たり前のことですけど……。

ただ、なるべくなら、うちの掲示板にあまり「これは望ましくない」とか「こういうときは、ああするべき」みたいな規律を持ち込もうとしないでほしいです。これは、ほんと切実なお願いです。X本人がファジーな人間なので、そういう風紀委員会的な世界にはついていけないのです。以前、匿名で情報掲示板に書き込みをしたとき、書き込みのお作法がなってないと、かなり高圧的なお小言をちょうだいして、あっけらとられたことがあります。掲示板は、もう少しのんびりしたマァイインジャナイ?ムードでいいと思うんですよ……。

それと、掲示板管理人以外の人間がルールを運用しようとするのは、絶対に掲示板が荒れるもとです。サイト主宰者であるXの管理が適当なので、イライラする人も多いかとは思いますが、規則をふりかざす資格を持っているのは管理人だけだということを忘れないでください。たしかにうちの掲示板には利用にあたっての最低限のルールが制定されてます。でもルール違反を宣告したり、注意をうながしたりするのは基本的には管理人の仕事です。

仮に近藤さんが「キーワード空間に窮屈なルールを持ち込んで欲しくない」という理念の下に、現行のキーワードシステムを運用しているのだとすれば、ガイドライン作りなどはその理念に逆行しているのかなという気もしなくもなかったりする今日この頃であります。

キーワードモデレーションシステムが上手く機能しているのは、

  • スコアを「みんなで」決める
  • スコアをどう使うかは「自分で」決める

という部分にあるようです(参考;http://d.hatena.ne.jp/yms-zun/20050113/howtokillthekeywordsおよびhttp://d.hatena.ne.jp/yms-zun/20040810/answertoMittySan)

それを拡張する方向で考えると、凍結キーワードシステム(http://d.hatena.ne.jp/sasada/20050113#1105571113http://d.hatena.ne.jp/mitty/20040909#p1)にアレンジを加えたものが、今回の最適解に近いと言えそうです。すなわち、

  • スコアを「みんなで」決める
  • スコアをどう使うかは「自分で」決める

という「削除」ではない「機能制限」という方向ですね*1

機能制限という方向性は、他にも

に見られます。特に、キーワードページがトラックバックセンターをかねるような仕様になった今、「はてな」に必要ないからという理由で安易に削除というのは「はてな」内では許されても「はてな」外からは許されなくなりつつあるかもしれないという点を鑑みるに、機能制限の方が削除よりもベターといえましょう。

確かに、機能制限(ただし、モデレーションシステムと同様にどれだけ制限するかは個々のユーザにゆだねる)と言う方向性は有用です。なぜならば、これは利害フレームワークhttp://d.hatena.ne.jp/mutronix/20040910#rigai)の観点から見たとき、

  1. KW立てる人
    1. 捕捉したい(偶発的に)→△(捕捉されることに同意した人だけ捕捉できる)
    2. 捕捉したい(意図的に)→△(捕捉されることに同意した人だけ捕捉できる)
    3. 百科事典を作りたい→○
    4. 多くの人に知らしめたい(商用以外の意味での宣伝)→○
    5. それ以外の意図→?(意図による)
  2. KWリンクから辿る人
    1. あるキーワードを書いている人の日記を見たい→△(被捕捉に同意した人だけなので、若干数は減るはず)
  3. KWリンクから辿られる人
    1. 自分の日記がそのキーワードで串刺しにされる、うれしい(知らない人が自分の日記を見に来る)→○(自分でコントロールできる)
    2. 自分の日記がそのキーワードで串刺しにされる、いやだ(そのような言葉を自分が書いていると知られたくない)→○(自分でコントロールできる)
  4. KWリンクが自分の日記に出る人(偶発的に)
    1. 意外な言葉がリンクされておもしろい(うれしい) →○(自分でコントロールできる)
    2. 語句の一部にヒットするのが偶発的で面白い→○(自分でコントロールできる)
    3. 語句の全部にヒットして、そこにつながりを感じられるから面白い→○(自分でコントロールできる)
    4. 意外な言葉がリンクされてうっとうしい(いやだ) →○(自分でコントロールできる)
    5. 語句の一部にヒットするから本意ではなくいやだ【b】→○(自分でコントロールできる)
    6. 語句の全部にヒットしても、そのようなキーワードがリンクすることがいやだ【c】→○(自分でコントロールできる)
  5. KWリンクが自分の日記に出る人(自ら意図して記述)→○(自分でコントロールできる)
  6. KWリンクが自分の日記に出ない人
    1. 自分の目の届かないところに自分のきらいなキーワードが「ある」ことを認める→○(あってもなくてもその人には関係ないので)
    2. 自分の目の届かないところに自分のきらいなキーワードが「ある」ことを認めない【d】→×

のようにほとんどすべての利害を満たす形で機能するので、上手くいくだろうことが予測されるからです。

唯一の穴は、

  • 自分の目の届かないところに自分のきらいなキーワードが「ある」ことを認めない

という強硬派の存在です。この点が解決されない限り、このシステム下でも削除合戦は防げません。

こうした形での削除合戦を抑止する方法としては、一ユーザがある特定のキーワードを削除にまわせる回数を制限する(具体的にはhttp://d.hatena.ne.jp/mitty/20040903#p1)などがあります。



こう書くと登録したい人に激しく有利に見えますけれど、そのキーワードの存在を「無視する」人が増えると当該キーワードのページがチラシの裏と変わらなくなる(そして、それを書いた人を皆が生暖かく見守る)と言う点において、かなり底意地の悪い提案といえます。

*1:わたしはこの機能制限の一つの形として捕捉閾値システムhttp://d.hatena.ne.jp/mitty/20040824#p1を挙げておきます