削除投票の話。

http://d.hatena.ne.jp/hatenadiary/20050112/1105486059

運営サイドからすれば、自動化して処理できるようにしたいというのは当然のことなので、数値化して処理すること自体は止むを得ないことと思います*1

とはいうものの、スコアの意味を拡張することには反対です。もしもそうするのであれば、運営サイドが既に考慮したように

  • リンク用のスコア
  • 削除用のスコア(削除用のスコアは削除提案状態に入ったときにだけ開かれる)

の二つを用意してやるべきでしょう。リンクしたいか否か、削除したいか否かは本来別の次元の問題だからです。それゆえ、運営サイドも既に予測しているように、「リンク可、不可のために導入したスコアを用いることによる明らかな弊害が発生する」ことが容易に予測できます。


もう一つ考えるべきことは、「削除」が本当に問題を解決するのか、という点でしょう。例えば、削除されてしまうと、登録したい人はもう一度同じキーワードを登録することが出来るようになります*2。そして、それは削除されたキーワードがスコア100で復活する、ということに他なりません。そこからもう一度同じプロセスを辿るのは時間の無駄以外の何者でもないでしょう。特にこの点については、特別なルール(現行評議会の規定を流用して、一定期間内の再登録を禁止する)を設定して穴をふさいでおくべきと考えます。


個人的な懸念としては、投票に関する特定層の関与を挙げておきます。匿名性を保ちつつ特定層の関与を排除する仕組みとして、擬似陪審制を対案として提案します(http://d.hatena.ne.jp/mitty/20040629#p3)。

  • 削除予定への遷移要件はhttp://d.hatena.ne.jp/hatenadiary/20050112/1105486059と同じ。
  • キーワードが削除予定に変更された場合、運営サイドに通知が行く。
  • 運営サイドは削除提案されたキーワードを検討する。その際、規約違反二重登録・誤表記については管理者権限において即時削除。そうでないものについては、「陪審員の召集→投票」フェイズへ移行。
  • 投票は、はてなダイアリー評議会と同様のシステムにより、はてなダイアリー市民のうち、陪審員になることを賛同したものの中からランダムに選ばれたn人だけ投票可能とする
    • 運営サイドは、陪審員名簿の中からn人をランダムに選出し、通知メールを送る。
    • 陪審員名簿に載るのは、はてなダイアリー市民のうち、陪審員になることを承諾したものを基本とする。ただし、過去8週間以内に陪審員を務めたことのあるものは、再び陪審員となることはできない。
    • 陪審員になれるのは当該キーワードを編集したことのないものとする。特に、登録者・編集者・削除提案者はいずれも議決権を持たない。
    • 陪審員名簿に載る人の数は最低でも市民の半分を確保したい。
  • nの大きさははてなダイアリー市民の数に応じて決める。現時点では、100〜300程度が適当であろう。
  • 誰が陪審員であるかは原則非公開とする。
    • 陪審員になったことにより逆恨みされたりするのを防ぐため。
  • 投票期間は1週間とし、1週間経過後の投票結果により「存続」「削除」が自動的に決定される
    • 投票期間中、現時点で合計何票投じられたかについては公開するが、どこに何票入っているかまでは公開しない。
    • 定足数はnの三分の二とし、定足数に満たない場合は自動的に投票期間を1週間延長する。
  • キーワードが削除されるのは、「削除」票が有効投票数の過半数を占めた場合とする
    • 「存続」票が50%以上を占めた場合、キーワードは存続し、向こう半年間はその状態を保つものとする。

ランダムサンプリングを行うことにより、

  • 削除派→存続派の「組織票」によるキーワード防衛を阻止できる
  • 存続派→ごく少数の削除派の意向により削除されてしまうという事態を防げる

ということになります。どちらにとっても悪い話ではないと思います*3

また、多重IDによる影響を排除できるのもおおきなメリットといえましょう。

「民意」に帰着させたいのならば、特定の層だけが投票しているのではないか、という懸念をなくさせることが肝要だと思います。→id:hatenadiary

*1:状態遷移が一人のユーザの手によって可能なことが問題を引き起こしているという現状認識であれば、この判断はきわめて正しいと思います。

*2:仮に削除されていない場合は、ルールにより重複登録は禁じられています。

*3:運営サイドが自動化によるメリットを享受できるという点も重要です。