キーワードモデレーションシステムに対する雑感。

キーワードモデレーションシステムが導入されてからずいぶん経ちますが、わたし個人の印象としては、かなり上手く機能している、と思ってます。

旧来、キーワードを削除したい理由にはいくつかのものがありました。

  • ルールに反するもの
    1. 規約に抵触
    2. ヘルプに抵触
      • 複数の文字により構成されないものは不可
      • 通名詞・固有名詞・みなし固有名詞(はてな関係キーワード)以外は不可
      • 詳しすぎる名詞は不可(いわゆる「粟田町」ルール)
      • 個人的な名詞は不可(いわゆる「しなもん」ルール)
    3. キーワード作成ガイドラインに抵触
      • 誤爆が多いキーワードの扱い
  • ルールに反しないもの
    • 操作ミスによる二重登録キーワードの削除
    • キーワードの内容が不十分である(→内容を書き換えることにより対処すべきであり、削除の理由にはならない

このうち「操作ミスによる二重登録キーワードの削除」は、それ自体が問題とされることは極めてまれでありました。そのほとんどは登録者によるものであり、また、登録者でない人が削除した場合には、感謝の対象ですらあります。無用の混乱を避けるため、これ以後、考察の対象から外すことにします。*1

もちろん、より根本のところにはルール以外の問題がある、のかもしれません。例えば、

  • キーワードの対象そのものが嫌い
  • キーワードを登録した人が嫌い

というのは、人を削除に駆り立てるに十分な動機(!)のようです*2。これも一般化して論じるには、無理がある対象ですので、今回の考察の対象からは外すことにします。

キーワードモデレーションシステムの導入により、上の理由群は大きな変化を強いられることになりました。具体的な変化としては

  • 誤爆」に対するシステム対応(キーワードモデレーションシステム)→誤爆」を理由にした削除行為は実質的にできなくなったガイドライン・レベル)
  • 「名詞縛り」の撤廃→名詞でないものを拒否できる公式な理由がなくなってしまった(ヘルプ・レベル)
  • 粟田町ルール」の撤廃(しかし、「意味不明な言葉や、自分だけしか意味が分からないような言葉を登録するのはやめましょう。」の文言は残る。)→「しなもんルール」(個人的な言葉は不可)は残る

などがあげられます(関連:http://d.hatena.ne.jp/intheair/20040620#sinamon)。この変化後の削除理由を列挙してみると、

  • ルールに反するもの
    1. 規約に抵触
    2. ヘルプに抵触
      • 個人的な名詞は不可(いわゆる「しなもん」ルール)
  • ルールに反しないもの

という風に、ずいぶんシンプルな構図になってます。

これらの変更は、「キーワード」となりうるものの範囲を最大限に広げキーワード登録したい人の意向を尊重する、とともに、それに付随する弊害(誤爆など)を最小にしよう、と意図されたものであり、今のところ、その意図はうまく反映されているように思われます*3
この変更に関して評価すべき点は、

  • 誤爆リンク可・不可)の問題と削除(要・不要)の問題を切り分け、誤爆に対してはモデレーションという解決策を与えたこと
  • 妥当な「落としどころ」を与えるだけであれば、リスクを冒して議論をしなくてもよくなったこと

などがあげられます。

この変更に関して気になる点は、

ということがあげられます。例えば、

などはいずれもキーワードとして登録されており、現行ルール下で妥当とされていますが、これをロジカルに拒否できないのは、わたし個人としては違和感を覚えるところですし、はてなダイアリークラブ関係のキーワードにマイナスモデレーションが付くことが多いのも、心情的によろしくないなぁと思います。

特に、キーワードとなりうる言葉の制限がゆるすぎるという問題については、何らかの対応を望みます。→id:hatenadiary

従来のように、さまざまなリスクを冒しながら問題児を説得するのではなくて、集団で「不要」に票を投じ、キーワードを「民意に基いて」実質的に無効化するという手段が取れるようになったことはいいことのはずで、それを利用すれば、運営サイドが「何らかの対応」を取らずとも、安定的かつ快適な運用は可能だろうと推測はされるのですが。

参考リンク:

http://d.hatena.ne.jp/adramine/20040613#p4

なんかモデレートしてスコアを下げれば、日記にリンクが出ないからいいだろ?的なキーワードがワラワラ雨後の筍の様に出来ているのだが、なんだかなー。有意という意味を拡大解釈しているのか、曲解しているのかは知らないが、流石に如何なものかと思う次第。

→キーワードの説明文の閾値設定が可能にしてもらえるとわたしもうれしいです。→id:hatenadiary

http://d.hatena.ne.jp/caramelly/20040613#1087107265

無意味なキーワードは削除じゃなくてスコアを下げることで対処するのが定着しそうな雰囲気。

http://d.hatena.ne.jp/matsunaga/20040614#p2

キーワードは「削除VS戻し」のやりとりを続けるよりも中身を変えていった方がいいと思うんだ。

コメント求む:キーワードせっかく

  • モデレーション(原文:補足専用キーワード化スイッチ)による影響の考察。
    1. キーワードを立てた人=捕捉したい人→捕捉できる。
    2. 本来の意味で該当語句を書いて捕捉された人→日記にリンクはつかないが、リファを見れば、そういうキーワードが立ったことが分かる。
    3. これまで「誤爆」で捕捉されていた人→リンクはつかないので、影響なし
    4. 日記本文にキーワードを書いてない人→影響なし

共存共栄という観点からは、そうした解決策がベストなのかもしれません。費用対効果を考えると、労多くして実り少ない「説得」ではなくて、労少なくして実を取ることのできる「マイナスモデレーション」が定着するのは無理からぬことです。

追記:

http://d.hatena.ne.jp/matsunaga/20040616#p2

キーワードのスコアは、「このキーワードを削除してください」という投票ではなく、「このキーワードをリンクしたい・したくない」という投票である。したがって、「ランクを低くした上で残したい」「残したいがリンクはしたくないからランクを下げる」という選択がありえる。

基本的に、ランクを下げればリンクしなくていいのだから、重複など明らかな問題がある場合を除いて削除は不要。

したがって、ランクが低いから削除するnanacy氏の行動には賛同しない。キーワードに不満がある場合は、ランクを下げるよう呼びかけたり、キーワードそのものを有益なものに変えるべきである。

*1:二重登録問題については、登録者に一定期間内の即時削除権を与えるという解決方法が提案されていますが、これに伴い付随する問題も多いので、同一idからの同一文字列のキーワードの登録を一定時間受け付けないようにするという対応が望ましいと考えます。→id:hatenadiary

*2:しかしながら、ルールに則って提案しない限り、その削除提議が通ることはまずありません。

*3:ただ、モデレーションシステムを悪用したはてなダイアリークラブへの攻撃、などの問題はあるようです。