『あなたの話はなぜ「通じない」のか』*1

夏目漱石草枕』の冒頭はあまりに有名である。

山路を登りながら、こう考えた。
 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

自分の意図を伝えるのには、智(論理)だけでは足りない。もちろん、情だけに頼ってもいけない。意地を通すなどもってのほかだ。智と情の間隙を結ぶような何か、それが我々の求めるところであり、同時に、現在の日本の教育課程からはすっぽり抜け落ちているところである。

著者の山田ズーニーさんは、ほぼ日で連載*1しており、コミュニケーションに対して一家言ある人物として知られる。

今作においても前作『伝わる・揺さぶる!文章を書く』と同様に彼女のコミュニケーションに対する考え方を基にした方法論が語られる。

智に働いても角が立たず、情に棹差しても流されない。

そのようなコミュニケーションの仕方を模索する人には必読の文献であろう。