なぜ、賢い人が集まると愚かな組織ができるのか→amazon.co.jp

「賢人閑居して余計な仕事を増やす」、からかと。詳しくは、沼上幹氏の一連の著作(特に、『組織戦略の考え方』)を参照。

ロジックだけを説明すると、「花形部署には優秀な人が集まりがち→仕事の総量は彼らのキャパシティに対して過小→根回しなどの社内向けの仕事にあまった労力が向く→根拠不明の慣習としてそれが定着」という流れで生産性の低下が「構成員の能力が高ければ高いほど」起こる、という逆説的なお話です。

この「生産性の低下」、大企業病と一般的に言われるものに良く似てませんか?大企業に採用される人ようなたちは優秀なはずなのに、例えば、そういう人たちだけを集めた某メガバンクなどはかつて無い苦境に立たされつづけてますよね?

同期でも優秀な人たちが数多く行っているため、例として挙げるのは心苦しいのですが、例えば、官僚組織などはその最たるものでしょう*1。お役所の仕事の悪い側面だけをとりあげて話しますが、例えば、何を買うかはもはや決まっていて「なぜ買うか」の理由作りの書類に労力の99%が費やされている、こともあると聞き及びます。仕事には「内向きの仕事」と「外向きの仕事」があり、収益・便益を生むのは「外向きの仕事」です。もちろん、両方があってこそ円滑に仕事が進んで行くわけですが、上のメカニズムが働くと、力配分の適性比率が妙なところに落ちてしまう、というわけですね。

これこそ「賢人閑居して余計な仕事を増やす」の最たる例だと思いませんか?

*1:官僚の生の声としては、id:kanryo殿のところが詳しい。