『階層化日本と教育危機―不平等再生産から意欲格差社会(インセンティブ・ディバイド)へ』

子供の勉強時間は減る一方である、とされる。

・・・そう、「平均値」では、減っているのである。しかしながら、「母親の学歴」で条件付けた子供の勉強時間は一般に知られている事実とは違った側面が見えてくる。

例えば、母親の学歴が高くない層で著しい減少を見せると同時に、母親の学歴が高い層で大幅な増加を見せている、結果として全体の平均が下がっているとなると事態は穏当では無い。そのことは、子供が<親の学歴に影響されて>二極分化していることを示す証拠に他ならないからだ。

そして、実際どうなのか、ということを検証したのが本論文である。

結論から言えば、上に述べたような仮説が妥当している、ということが示された。

このことは日本の教育政策上重大な意味を持つと思われる。