男性用眉そり、と、統計学。

男たちが眉を整えるようになったのは、いつの頃からだろう。

これは社会学的には「男女平等化」の進展の一形態であるわけだが、マーケティング的には、既存の女性用商品を男性向けにアレンジしなおしたという点において画期的なことだったに違いない。

つまり、ある分野では当たり前のことが、他の分野では当たり前で無い、ということが当然に起こりうる。そして、その当たり前で無いと思われていた分野に(同様の手法を用いて)進出することこそが、画期的なブレイクスルーへの一歩だったりする。

この認識は非常に重要である。

例えば、サバイバル分析。これは生物統計学・工学・医学では、もはや使い古された手法である。だが、目を転じて「企業のデフォルト分析」にサバイバル分析を使うと、これはもはや最先端のトピックである。

例えば、マルコフ連鎖モンテカルロ法。これはアルゴリズム的には30年前にほとんど完成しており、物理学の文脈では使い古された手法であった。しかしながら、ベイズ統計学の文脈では、今でもベイズ統計学の裾野を広げる必須のツールであると同時に、最先端の手法の一つでもある。

これはまさに「コロンブスの卵」だ。

我々は宝の山の前をそれと気がつかず通り越しているのやも知れ無い。