"Bayesian Nonparametrics "(Springer)

ノンパラメトリクスとベイジアンというと、まったく相容れないように聞こえるかもしれない。

本書のテーマであるBayesian Nonparametrics はここ30年で長足の進歩を遂げた分野である。特に、マルコフ連鎖モンテカルロ法の導入された90年代以降の進歩は目覚しく、ここ2・3年は毎年のように大きな成果が得られている*1

しかしながら、この分野の包括的な教科書は今まで存在しなかった。それゆえ、非常にパワフルなツールであるにも関わらず、応用の文脈、特に計量経済学の分野からはまるで無視され続けてきた。

結果として、包括的なレビュー+解説が求められてきたわけだが、その待ち望まれていた教科書が、本書である。

計量経済学を学ぶ学生はもちろんのこと、ベイズ的なノンパラメトリクスを用いようとする実務家・応用研究者必携の一冊である。

ただし、求められる前提知識のハードルはかなり高いことに留意されたい。測度論ベースの確率論と基礎的な統計学の知識なくしては読み通すことは至難と思われる。

*1:→JASA参照