de Finetti記法

ちなみに,Pollard先生が用いていたde Finetti記法について.確率を扱っているとよく,期待値にE,確率にはPとかPrとかProbとかいろいろな表記を見かける.しかし,期待値つうのはある測度に関する積分なわけで E(・)=∫・dμなわけで,集合のindicatorを通せば確率もこの形で書けるから,結局,同じような扱いをしようという動機付け.そして,この期待値の形 μ(・):=∫・dμ というのは単調増加な線形汎関数になるから,その性質を用いればすごく見通しがよくなる.

実数の3にも整数の3にも同じように3+4などの記法を用いる.このようにある種の便利な同一視はあるわけだが,ここでも集合とそのIndicatorを同一視することで全部 P(・) という記法で書こうというワケ.

{f(x)<3} のように集合になっていればそれはIndicatorを意味する.だから,{f(x)<3}+{g(x)>5} なども可能.また,P(f(x)>3) なら{f(x)>3}なる集合の確率(={f(x)>3}なる集合のIndicatorの期待値)だし,P(f(x))なら単に期待値 E(f) てな感じ.

慣れるまでには時間がかかるけれど,わたしはこれ,なかなかよいと思う.全部測度に関する積分として単調増加な線形汎関数という意味でμ(・)みたいな書き方でもよいと思うけれど,確率測度はよくPと表記されるし,まあP(・)を主に用いている.

数学は演繹的な学問である。

確かなものから確かなものへ、その因果の鎖をどのようにつないでいくか、それが重要とされる。ここで問題となるのは、「世界」を拡張した時に、拡張された世界で今までいた世界と同じ「ルール」が適用できるか、ということである。

もしも運良く「ルール」が適用可能だったとしよう。

その際、「世界」を変えても同種の演算は同じ記号で書くことにする、という形のアナロジーは「世界」を見通しよく記述するのに役立つ。

例えば、リーマン積分ルベーグ積分。これらの二つは別物である。多くの場面において、リーマン積分は過分にrestrictiveである。その限界を突破するために用いられるのがルベーグ積分だが、実は、リーマン積分が存在する場合、ルベーグ積分は常に可能であって、両者の値は等しいということが知られている。そこで、「世界」が異なる二つの積分を同じ記法で書き表すことは、
「世界」を見通しよくしてくれる。

de Finetti記法はその意味において建設的だろう。