経済統計の活用と論点

日銀出身の著者二人による渾身の力作。経済統計総論と経済統計各論の二部構成をとるが、全篇を通じて、「経済統計を経済分析に活用する」という視点から書かれており、この種の統計解説本としては稀有な位置を占めると思われる。ほぼすべての経済統計を網羅的に解説しており、通常は辞書的に用いることになるだろう。また、ある統計を経済分析に用いるときに生じうる問題点を各統計ごとにきちんとまとめてあるのも、経済統計相手に格闘してきたエコノミストならではの視点として評価できる。凡そ経済学において実証分析を行おうと思う人であれば、必携の一冊である。