モンテカルロ・フィルタ。

線形かつガウシアンの状態空間モデルはカルマン・フィルタによって逐次計算できるが、このフィルタ自身は線形およびガウシアンであるという仮定に強く依存しているため、そのどちらかの仮定が満たされない場合はうまく機能しない。カルマン・フィルタは、状態の平均・分散のみに関する更新式から構成される。しかし、これが計算できるのは線形かつガウシアンの時のみだからである。
仮に、問題とする状態空間モデルが非ガウスであったり非線形であったりすると、分布そのものについての更新式が必要となるが、これは一般には複雑すぎる。
この問題については二通りのアプローチが知られている。一つは1)モデルを解析的方法で近似してやさしい近似モデルを解く方法であり、もう一つは2)分布そのものを近似表現して直接モデルを解く方法である。前者のアプローチはいわゆる拡張カルマン・フィルタに通ずるものであり、後者のアプローチが今回問題とするモンテカルロ・フィルタである。もちろん、後者のアプローチの中には数値積分フィルタも含まれるが、状態の時限が上がると「次元ののろい」により計算量が膨大となるので、適用可能性の観点から問題を抱えており、4次元以上の場合にはモンテカルロ・フィルタの方が望ましいとされる。
モンテカルロ・フィルタは、アルゴリズム的には、遺伝的アルゴリズムとほぼ同じ構造を持つことが指摘されている。つまり、アルゴリズムは同じでも、最終的なエリート中のエリートに注目するのが遺伝的アルゴリズムであり、最終的な人口構成に着目するのがモンテカルロ・フィルタである、と言っても差し支えない。

個人的には、ガウシアン→コーシーにした場合に経済時系列データの構造変化を的確にdetectできる、というtopicに注目しています。