『「クビ!」論。』

チェース・マンハッタン銀行人事部長によるクビ切り秘伝書。15年間で1000人あまりを訴訟などのごたごた無しにクビにした辣腕人事マン*1のプロ意識が感じられる一冊。

5章から構成され、第一章は自己の経歴、第二章は具体的なクビ切りのやりかた、第三章はクビ切り対象者の選出法、第四章は日本企業のクビ切りのやり方の問題点、第五章は人事面から見た日本企業への提言、となっている。

外資系企業においてクビ切りにいたる具体的な経過までがあからさまにされている上、どのような人がクビ切りの対象になりやすいかということ、および、クビを切る側がやられると嫌なこと、までが具体的に述べられている珍しい本である。

90年代のリストラでクビ切りの味をしめた企業が続出してしまった以上、これからの時代、クビにならずに生き延びることは至難と考えたほうが良い。

本書はそのような時代を行きぬくための最低限の(クビについての)教養を与えてくれるだろう。

*1:そして、本人もあまりの辣腕さゆえにクビにされてしまった模様。