統計学と西尾維新。

「・・・でも、殺人犯の数割は自殺するって統計ですよ」

「統計?二十年も生きてきて出る言訳が統計なのか?」嘲るように片目だけを細め、ぼくを鼻で笑う哀川さん。「そんな馬鹿らしいもん信じてんじゃねーよ。十万回に一回しか起きないことは一回目に起きるのさ。一番最初に会った相手は百万人に一人の逸材なのさ。確率は低いほどに起きやすい。<統計>?くだらないくだらない・・・奇跡なんて一山いくらの二級品だってのにさ」

「・・・」

滅茶苦茶な暴論だったが、しかし、他ならぬ哀川潤が言う以上、反論のできようもなかった。

西尾維新の作品中には統計的・確率的概念を取りいれた部分が随所に見られます。

しかしながら、通常、統計学が相手にするのは、正規分布で言う、山の部分、つまり、絶対多数の人達なのです。正規分布で言う、裾の部分=西尾維新作品で言うところの人外を扱うための統計分野はまた別に存在します。それが「極値理論」に他なりません。