『きみとぼくの壊れた世界』(西尾維新)

再読。西尾維新の作品にしては珍しく特異な能力者が登場しない純学園青春風のストーリー。

作中のところどころに、ゲームの選択肢を意識した箇所が見られるのは、ゲームへのアンチテーゼでしょうか。登場人物と設定だけ見ると、本当にどこぞのゲームでありそうな話です。

登場人物を整理してみると、

  • 主人公(♂):高校三年生、[シスコン]、<破片拾い;ピースメーカー>
  • 主人公の妹:高校二年生、[ブラコン]
  • 主人公の親友(♂):高校三年生、剣道部部長、<迎え突きの箱彦>
  • 主人公の親友の幼馴染(♀):高校三年生、中学まで剣道部、<肉の名前>
  • 主人公の友達(♀):高校三年生、保健室登校で天才
  • 主人公の妹にちょっかいをかける後輩(♂?):高校二年生、剣道部、<予測不可能;ランダミングランブル

という風な感じ。作者からの挑戦状には、「犯人はこの中にいる」と明言されていました。

「特殊な能力者」は存在しない、という前提で書かれている風に見受けられましたので、「ミステリ」として西尾維新を読んでいる方にも楽しめる上、妹+○○は主人公のことを随分と想っているみたいで、その点「ライトノベル」として西尾維新を読んでいる方にも損をさせない作品だと思います。

ヒトクイマジカル」は小ネタや西尾哲学で結構楽しませてもらったのですが、ミステリ部分の味付けが非常に淡白で、ミステリ読みの方々からは不評だったッぽい、という話を聞きます。「特異な能力者」というカードを排除した本作にて、西尾維新がどのように新本格的なミステリを展開するのか、それは非常に楽しみなところです。