Simulation

Ross"Simulation"は、シミュレーションの入門書である。

確率論の基礎から乱数の生成へ、乱数の生成から離散型シミュレーションへ、離散型シミュレーションから連続型シミュレーションへ、そして、その結果の統計学的検定へ。という風に無駄がない流れが出来上がっている。素晴らしいシミュレーションへのイントロダクションである。

さらに、モンテカルロ法を行う際に重要な分散減少についての手法が解説されている点は無視できない。

ソースコードは書かれていないが、アルゴリズムが与えられているため、特定の言語に依存しないで読める。これは長所でもあるが、手っ取り早いsolutionを求める人には向かないかもしれない。

第三版で特筆すべき点は、マルコフ連鎖モンテカルロ法に一つの章が割かれていることである。しかも、基本的な原理はきちんとそこに収められている。しかし、これをいきなり読んで理解できるかは謎である。