優秀なオタク社員の上手な使い方

現代の経営管理論は工業生産が主流だった時代のことを強く引きずっており、知的生産が主流となりつつある現代にうまく対応できてないように思われる。しかしながら、そのような認識は部分的であり、誤りですらある、ということを本書は暴く。すなわち、知的労働者と言えど「かなりの部分において」肉体労働者と同様のマネジメント手法が通用する、ということを例を挙げて述べているのである。かといって、両者のマネジメントはまったく同じ、というわけにはいかない。そのような知的労働者固有の問題に関しての特論的部分の充実は、他書の追随を許さぬものである。
「オタク」を束ねねばならぬが、自らは「オタク」でないと自認する管理者必携の一冊。この本は「オタク」の行動原理を深く理解できることに加えて、通常の人的資源マネジメントについても概要を押さえることができるという一冊で二冊分の価値がある本である。