経済合理性と法律。

人々にある規範を強制したい場合、一番簡単に思いつく二つのアプローチとして、経済合理性に訴えるアプローチと法律による強制的なアプローチがある。多くの場合、前者は後者に勝る。経済合理性を満たさない法律はそれを守らせるためのコストが過大になってしまうのは明らかである。

たとえば、家電リサイクル法を考えてみよう。家電リサイクル法では、購入前に料金を徴収するのではなく、処分時に料金を徴収する。これはうまくいかないだろうと素人目にも明らかだ。料金を払うくらいなら、不法投棄してしまえという輩が出ないとも限らない制度設計になっているのだ。しかし、この順序が逆だったらどうだろうか?そうすれば万事めでたく料金は回収され、廃棄する際にはごみ捨て場に持っていくだけで追加コストはかからないから、わざわざ山の中にまで捨てに行こうという時間とひまがある人も少ないので、きっと不法投棄も減るだろう。

残念なことに、法律がわかる官僚は経済学について無知だし、逆もまたしかり。個人的に尊敬する友人は、その両方がわかる稀有な人材である。彼の活躍を影ながら祈りたいと思う。