リファラを用いたスパム行為の話。

http://d.hatena.ne.jp/CAX/20031224#p7
http://slashdot.jp/articles/03/12/25/0126200.shtml?topic=66

よく見るとうちにも謎のリファラが届いていました。

http://www.google.com/search?q=”ご協力ありがとうございました。楽しんでいただけましたか?by美鎖”&hl=ja

確かに、当日記では

に対し、言及したことがあるので、確かに張られる原因はあったと思います。

問題の作品は『よくわかる現代魔法』。

張るからにはよほどの自信があるのだろう、と期待していたのですが、『銀盤カレイドスコープ』には遠く及ばない出来でした。設定を読む限りでは、なかなか面白そうだと思ったのですが。

ひまつぶしとはいえ、時間を割いて読むほどの価値がある作品では無いようです。

「魔法使いもの」という古典ジャンルにITの要素を導入し、独自の世界像を創り出そうとした意欲は買える。だが、それ以外の面においては退屈な印象が強かった。主人公をお人好しのドジっ子と設定しているが、今やオタク系作品において定番的なキャラとはいえ、あまりに型通りな描き方に終始しており、共感には及べない。致命的な欠陥は、主人公の(駄目な子なりの)努力と成長過程がまるで描かれぬ点だろう。作者は描いたつもりかもしれぬが、全く足りない。魔法使いの師匠も人物像が曖昧だし、機能性にも欠ける。ドラマの核となる騒動とその発端の設定もいい加減に感じられた。

新人賞を逃したときの講評のひとつ(http://dash.shueisha.co.jp/sinjin/sd_2.html)がすべてを表していますね。

あと、「魔法使いもの」という古典ジャンルにITの要素を導入した試みは成功しているとはいいがたいでしょう。「主人公の左右の目の色が違う」、というくらいあまりにありきたりな設定*1

もちろん、主人公の成長は見られますが、いわゆる銅鉄研究。「銀盤カレイドスコープ」では、これでもかというほど描かれていた、葛藤→成長の繰り返しによるカタルシスがまったくありません。

新人賞候補として三作品残った中で、ひとつだけ選外になったのもむべなるかなと言わざるを得ません。

実は、あとがきが一番面白かった気がします。

設定自体はありきたりながらも、精緻に構成されているので、設定自体を楽しめる人や入り組んだ設定を好む方には受けるかもしれません。ただ、設定倒れというか、設定が展開の中に活かしきれてない印象は否めませんが。

しかしながら、設定に比して、キャラが総じて薄味なのは残念なところです。もちろん、キャラごとの設定は世界観と同様作りこまれているのには疑いの余地は無いのですが、作者だけがそれを把握していて読者にはそれがきちんと伝わってこない(むしろ部分的に伝わるだけたちが悪い)のは、キャラが重視されるライトノベルにおいて大きなマイナスポイントだと思います。

次回作に期待ですね。