weblogと文章力。

http://ju-shock.s6.xrea.com/fswiki/wiki.cgi?page=%28030924%29Weblog%A4%C8%CA%B8%BE%CF%CE%CF

記事について意見を表明するタイプのweblog(当日記?)は、辻説法に似ている。webという公道で何かを叫ぶようなものだ。

weblogにあるのはその人の主観で切り取った世界だ。何気ない日常も「作者」というフィルタを通すことで、輝くような面白さを持ち始めることがある。その変換作用の妙を楽しむのがweb日記と言えよう。

その際、「自分が面白いと思うものを当然に他人が面白いと思ってくれる」という幻想は捨てねばならない。出発点は「キミは面白いと言うが、面白さなどわたしには分らない」というところだろう。

そこから始めると、文章は自然と読みやすさを意識したものになる。

「理解しあえる」ということについての悲観主義、というのがwebに文章を載せる際に必要なことかもしれない。

weblogと文章力、おかわり。

文章力を構成する要素は幾つかありますが、その中でも位置づけが難しいのが「文体」という要素。
詳しくは→http://d.hatena.ne.jp/mitty/20030914#p5

わたし自身は、「(凡人の文章の場合)内容と文体は分離可能であり、さらに内容が文体に優先されるべき」、と考えております。

ちなみに、なかのひと*1の文章については、

まぁそれなりに面白いんだけど、文章カテ〜。生硬。しかめっ面して考えごとしながら、電柱にぶつかるタイプかね。

http://raisehigh.org/blog/2003_08_01_blog_old.shtml

とまあ、こんな感じに受け取られているようです。

わたし自身は文体をいくつも使い分けるという特殊技能を有していないのですが、反省してちょっと修行しようと思いました。

いっそ日記を全部「祥子さま」文体で書くとか。

*1:(´∀`|・|) ソー

支配戦略。

http://d.hatena.ne.jp/cmstriker/20030925#p2

ゲーム理論に登場する概念の一つに、支配戦略というものがある*1

プレイヤーは幾つかある選択肢(=戦略)の中から自分の意思で一つを選ぶのだが、選択肢間に明らかな優劣が定まる場合、「戦略Aは戦略Bを支配する」という言い方をする。

このことを考えるメリットは、「支配される戦略はもはや選ばれない」ので、ゲームをより簡約化できるということにある。

で、id:cmstrikerさんの場合は、ある事例について支配戦略が存在するようですね。理由付けも秀逸です。

*1:少々不正確ながらもニュアンスが伝わる表現の仕方をすれば、「相手がどう出たとしても、自分はそうしていれば損しない」という選択肢のことです。

公認会計士と企業の倒産リスクの統計学的分析。

著者:安川 武彦 氏
論文名:「順序離散データモデルの拡張による格付けデータの分析」
申請学位:博士(経営学
日時:平成15年9月25日(木)17時30分ー19時
場所:筑波大学東京キャンパスG棟5F、G501室

主査:椿 広計(ビジネス科学研究科教授、主指導教員)
副査:加藤 英明(神戸大学経営学部教授兼ビジネス科学研究科教授、副指導教員)
   八重倉 孝(ビジネス科学研究科講師、副指導教員)
   寺野 隆雄(ビジネス科学研究科教授)
   弥永 真生(ビジネス科学研究科教授)
   小林 正人(横浜国立大学経済学部・教授)

論文概要と構成

本論文は、順序離散データである格付けを分析対象とし、モデルの拡張を行いなが
ら、格付けと財務との関連を計量的方法により明らかにしようとするものである。
第1章:はじめに
第2章:先行研究
第3章:パネルデータを用いた格付けの期間効果の測定
第4章:サンプル・セレクション・モデルによる格付けの比較分析
第5章:比例性の仮定と格付けデータ
第6章:線形性の仮定と格付けデータ
第7章:総括と今後の研究展望

参考論文

安川武彦(2001)サンプル・セレクション・モデルによる社債格付けの比較、現
ファイナンス、10巻、63-83.
安川武彦(2002)平行性の仮定と格付けデータ:順序ロジットモデルと逐次ロジット
モデルによる分析、統計数理、50巻、201-216.

行って来ます。

(追記)
行って来ました。

統計学的観点から観るべきものは、

  • 順序離散データ解析のdynamic化
  • 順序ロジットモデルにおける比例性・線型性の仮定を緩める
  • 一般化加法モデルを内部的に使う

というところでしょうか。

計量経済学的観点からは、

  • 格付けにおけるサンプルセレクション問題への取り組み

というところでしょう。

中の人は格付けマニアなので、そうした問題になると一日でも語れるわけですが、不満な点もいくつかありましたので紹介しておきます。

  • なぜ順序ロジットなのか?

繩田(2000)により指摘されているように、多項ロジットは順序ロジットを包括する(順序ロジットが多項ロジットの特殊ケースである)。

多項ロジットと順序ロジットの違いは、潜在スコアの次元にある。

順序ロジットは「合成スコア」を生成してその大小でカテゴリーを選択する。多項ロジットは、カテゴリごとにスコア(効用みたいなもの)を生成しそれが一番高いものを選択する。

このことに関する問題点は、本来高次元の構造をもつものを内部的に「合成スコア」(1次元)に縮約してしまうことに生じる情報のロスにある。

実際、多項ロジットを使った方が当てはまりが良い、というのが小林(2001)で指摘されている。

  • なぜロジットなのか?

確かに、ロジットモデルはプロビットモデルに比べて計算上の優位性がある。プロビットモデルの尤度の評価には多変量正規積分が必要であり、多変量正規積分の数値解法は5次元を超えると著しく不正確になる、事が知られているのだ。

しかし、プロビットモデルはロジットモデルに比べて柔軟な相関構造を表現できることで知られており、計算上の不利益が無ければこちらの方に軍配が上がる。

さらに、ロジットモデルにはIIA(無関係な選択肢からの独立性)の仮定が必要であり、このことは実務上少々制限的である、ということも指摘しておかねばなるまい。


全体的には実務家ならではの視点(もともと格付け会社に勤務されていたそうで)が活きていて、聞いてて非常に参考になる部分が多かったのですが、統計学的には自分が通り過ぎた地点をなぞっていただけだったので、少々不満が残る内容でした。