キーワードへの内容スコアの追加の話。
その理由は
- スコアがまざること
にあります。たとえば、amazonのレビューを想像してみて下さい。amazonのレビューでは、「個々のレビューに対し、個々のスコアがついている」ことがわかると思います。決して「ある本に対するレビューの評価をどんぶりにしてその本のスコアをつけている」わけではありません。そして、今、はてながやろうとしていることは後者に近いのではないかと思うのです。
つまり、仮に内容スコアをつけるのであれば個々の編集履歴に対し内容スコアをつける形にすることは絶対要件であります。
そうしないのであれば、例えば、
といった形での攻撃が可能になるでしょう。結果として、内容スコアが信頼の置けないものになってうまく機能しなくなってしまいます。
理想的な形としては、
- 各キーワードの編集履歴をID順に配列し、IDで見た最新の編集履歴を比較できるページを用意し、それについて内容スコアをつける
- 内容スコアが高い編集履歴が外部に表示される
- 同IDの内容スコアは受け継がれる
というものが考えられます。
このような形にすれば、内容の主観性に関する議論をある程度収拾できるはずです。建前的には、両論併記可能になっており、さらに、投票で定まるスコアの高いほうが掲載権を得るという点において、両者が納得する形で運営サイドが介入せずに事態を収められるからです。
しかしながら、これは「キーワードを皆で作っていく」というわたしがはてなに抱く理想からはかなりかけ離れたものですし、また、キーワードの内容をさらに個人に跡付けていくということとなれば個人攻撃も容易になるでしょう*1。
結局のところ、デメリットのほうが大きい気がします。
リンクスコアと連動させてキーワード削除システムを改革しようという話だとは思いますが、内容スコアがうまく機能しないのでそれもやはり反対です。キーワード削除システムに関する案としてはhttp://d.hatena.ne.jp/mitty/20050115#p1をあげておきます。>id:hatenadiary
参考リンク:http://d.hatena.ne.jp/sasada/20050407/1112875418
キーワード編集履歴の公開案について、の話。
http://d.hatena.ne.jp/hatenadiary/20050329/1112075835
個人的には反対なのですが、
- 実装が容易であること
- 現在、aboutページに「任意で」表示していたものを「強制で」表示するに過ぎない
- アンケートの結果、賛成が圧倒的多数を占めること
の二点を考えると、実装されない可能性は低いでしょう。
反対の理由は、単に「キーワードと個人は分離されるべきである」という個人的な信念に過ぎません。このような仕組みが導入されてしまうと、その信念を意識してキーワード機能を使うのが難しくなるはずです。
問題ユーザの抑止力にもなるでしょうが、キーワードへ貢献しようという閾値がこの提案により、わたしの場合、かなり高くなりました。特に、学術系のキーワードについてわたしはかなりの水準のものをいくつか提供してきましたが、今後はそうした活動はまったくできなくなるでしょう*1。
もちろん、いやなら出て行けばよいだけの話です。大多数の人はこれによりはてながよくなると考えているわけですし、実際、運営サイドもそう思うからこそアンケートに上げているのですから、それに異を唱えることがはてなのユーザの大多数の利益に合致するとは思えません。ならば、わたしは静かに去るのみです。
ほぼ実装は不可避でしょうから、
「機能としてはあっても良いですが、機能が実装される以前の編集情報は、機能の実装を前提に編集しているわけではないので、それを公開するということになると、だったら編集なんかしなかったよ、はてなダイアリーなんか使わなかったよという人もいるでしょう。仮に実装するのであれば、実装以前の編集情報は現状のままとし、実装後の編集のみを対象とすべきです。」(http://www.hatena.ne.jp/iwashi?mode=treedetail&thread=0000012842)
ということで、実装の際には、実装告知日以後のものを対象とするようにお願いしたいものです。
現実的な懸念としては、この変更は問題ユーザに対し多重ID取得や「生まれ変わり」をするインセンティブを与えてしまう、という点を指摘するにとどめます。
参考リンク:http://beta.g.hatena.ne.jp/yukatti/20050331/1112248345
自己紹介キーワード対策条項の話。
http://beta.g.hatena.ne.jp/another/20050329#1112052934
人がルール違反を犯すのは、
- ルールを知らない
- ルールを理解していない
- ルールに納得していない
- みんなも守っていない
- 守らなくても注意を受けたり罰せられたりしない
のいずれかによるといいます(芳賀繁「人はなぜミスをおかすのか」『リスクマネジメントビジネス』2000年9月号より)。
キーワード作成ガイドラインは特に「知らせる」ということに重点が置かれるべきですので、知らずに作ってしまい注意されるということが幾度と無く繰り返されてきた自己紹介系のキーワードに対する対処として、今回の提案は意義深いと思います。
もにょもにょ感について。
「善意の第三者」という言葉は、法律に関するきちんとした教育を受けているか否かで、ひいてはその人のバックグラウンド次第で、読み方がまったく異なるもののひとつだと思います。しかしながら、この言葉は文脈によってどちらの意味で言っているかが明確に捕らえられるケースがほとんどなので、そこにコンフリクトは生じにくいのでしょう。もちろん、正規の教育を受けた人はその「誤用」にもにょもにょ感を抱くのかもしれませんが*1。
「善意の第三者」だと問題が生じないのに、「中二病」だと問題が生じるのは、文脈による読み分けが事実上できないからなのかもしれません。つまり、その新語が生まれるに至った背景を共有している人はそれに乗っかって話を続けることができるわけですが、後からやってきた人たちはそれを共有していないのでそこに自分の文脈をはめ込んで話を続けざるを得ません*2。そこに生じる齟齬が、文脈を知る人の居心地悪さ=もにょもにょ感の原因なのではないでしょうか。
概念と新語の話し。
新しいコンセプトを獲得する際に、身近な例にそれを当てはめてみるというのはきわめて有効な戦略でしょう。今まで説明できなかったものが、それを用いることによりクリアに説明できるようになる、かもしれません。
ただ、意識しなければならないのはその新語の意味する概念と自分が説明したいことの概念には常に微妙なズレがあるということでしょう。ズレを0にするためは、究極的には、自分でその説明したいことの概念を表す新語を作らねばならないのです。
人の提案した概念に乗って自分のイイタイコトが言えた気になるというのは注意すべき状況ではありますが、ためしに乗っけてみることまでは拒否されるべきではないと考えます。もちろん、拒否することなど事実上誰にもできないのですけれど。
新しいコンセプトを獲得する際に、身近な例にそれを当てはめてみるというのはきわめて有効な戦略でしょう。今まで説明できなかったものが、それを用いることによりクリアに説明できるようになる、かもしれません。
ただ、意識しなければならないのはその新語の意味する概念と自分が説明したいことの概念には常に微妙なズレがあるということでしょう。ズレを0にするためは、究極的には、自分でその説明したいことの概念を表す新語を作らねばならないのです。
人の提案した概念に乗って自分のイイタイコトが言えた気になるというのは注意すべき状況ではありますが、ためしに乗っけてみることまでは拒否されるべきではないと考えます。もちろん、拒否することなど事実上誰にもできないのですけれど。
最近、某匿名掲示板にて行われる「投稿された絵に対しショートストーリーをつける」というお遊びを眺めていたのですが、スレの主が「オレの考えていた方向と違うストーリーをつけるのはやめてほしい」という風な発言をして荒れたことがありました。見ている分にはそれはカオティックで逆に味があって面白いのですが、主にとっては自分の絵やストーリーが消費され汚染されていくのはおそらく耐え難い出来事だったのでしょう。絵というアンカーがあっても、そうしたことが起こりえるのですから、ましてやコンセプトなんてものについてはリリースした人の意図どおりに育たないことは当然と考えるべきでありましょう。
ゲマインシャフトとかゲゼルシャフトの話。
http://d.hatena.ne.jp/another/20050318/1111157753
「キーワード界隈のコミュニティ」なるものは希薄にしか存在せず、しかもその性格はゲゼルシャフト的であるというのはまったくそのとおりだと思いました。
キーワード界隈も去年に比べてずいぶんと静かになったように思います。
これは多分にキーワードモデレーションシステムの成功*1に起因するものと思われますが、「労力を投入して喧々諤々の議論をしてもシステムの変化により基準がころころ変わるんじゃやってられない」と思うに至った層が議論から抜けていったのも大きな要因かもしれません。
某所より
マニュアルやドキュメントや標準化規格を書こうなんていう奴は、押し付けがましい性格じゃないと駄目なんだろうなぁ。
逆に言うと慇懃無礼で正論吐きのあつかましいキャラってのがいないと、統一されたドキュメントがそろわないということでもありそう。